■夕張市役所ヒアリング
2009年11月30日(月)
夕張市 建設課 農林建設グループ 市営住宅担当 主幹 佐藤学さん
Q:「2007年財政破綻以降の自治体の縮小についてどのような状況でしょうか?」
・市役所職員は260名から105名に減少(市立総合病院、老人ホームを廃止した事も含む)
・職員にも市民にもまだ被害者意識があるが(石炭で日本を支えてきた、国のせい、中田市長のせいなど)個人的には縮小は良かったと考えている。利点としては役所内での様々な調整が不要となり、決定が早まった点もある。
・第三セクター破産などの解決策として、鉄鋼の高騰時期に市の不要施設17件を取り壊した(建設業者に依頼、鉄鋼の売却を元手にした取り壊し)負の遺産が減った(積雪荷重で屋根の落ちたスイミングセンター、プール、テニスコート、野球場、ロボット館など)
・公営住宅の民間売却について、10年以上人が住まないまま放置されていた公営住宅を売却したが、当初は更地にしないと用途廃止できない法律がネックで売却できない状況があった。除却費用込みで入札することを考案し、売却することができた。同様の手法は学校などについても同様に可能
・役所内の意見をまとめるために大きなディレクションが必要だがまだ方向性がはっきりしていないもどかしさがある。また、役所の方針を市民に伝えていきたいがその活動がまだ十分ではない。
・再生市民会議(月に1回開催)、ただ市民の意見を聴くのでは方向性が見えない、役所で基本方針を出し、合意形成をしていく必要があるが方向性が見えないためまとまりを欠いている、3年間続いて方向性が見えていない状況にある
Q:「行政サービスの縮小の現状とそれによる街の変化について教えてください。」
・夕張市は南北に35キロ、東西に25キロ程度に広がり、谷地に沿った道路、鉄道を幹線に集落が分布している(地図参照)
・そのうち1集落(鹿島地区)はダムの建設に伴って水没予定、既に移動済み。(どこにどのようなかたちで移動したか?)
・市の公営住宅4000戸を超える、そのうち利用されているのは2500戸程度、35%は空家となっていて、老朽化が進んでいる状況、トイレがくみ取り式であったり風呂が付いていない住宅も多い
・夕張市では公営住宅利用者が60%にもなり依存度が非常に高い。持ち家率は全国最下位。炭鉱離職者は生活に困窮している方が多く、生活保護を受けている方も多い。また、高齢化率は約45%と高く、年金生活者が多い。平均所得は230万程度。
・人口縮小の予測としてはあと15年で7000人程度になると考えている
・公営住宅の建て替え更新による街のコンパクト化を検討している。部落の人口も少なく、交通も行き止まりの通りしかない南部地区(真谷地)から清水沢地区への移住を促進したいと考えている。
・コンパクト化によるメリットとして、除雪の廃止、公営住宅の修繕廃止、共同浴場の廃止、バス路線の廃止、ごみ収集の廃止、浄化槽メンテナンスの廃止などを考えている。ただし、縮小しようとする集落や先祖代々受け継いだ土地への愛着や、先祖の墓地があることなど、移住促進の障害になる要素も多く、すぐに実現するとは考えていない。
・最後は「金と土下座」かもしれない。
・小学校6校を1校に統廃合、中学校4校を1校に統廃合する予定(平成23年度実施予定)統合先予定の小学校(500名のキャパシティ)、中学校(250名程度?)については耐震改修も実施した(あるいは予定?)学校までの移動はスクールバスを民間会社(夕張鉄道バス)に運営を頼む予定
・スクールバスを複合機能化し、診療所に通う老人なども利用できるようにしたい
・清水沢地区には小学校、中学校、高等学校が集中し、交通の結節点ともなるためこの地区を中心に公営住宅の建て替え更新を行い、周辺地域からの移住促進を行いたいと考えている。移住希望者については優先的に移住を促進し、引越し支援金を出す。中心地に移動するきっかけとして、その新しいコミュニティでの育児見守り、多世代交流などの役割を担ってほしいと持ちかけていきたい。
・民間による住宅整備も促進したい、市保有の遊休地を安価に提供することも検討している。建設候補地に下水道が整備されていないため、浄化槽設置補助なども検討している。
・木造平屋建ての住宅を考えている。公営住宅だけでなく、バスプールと複合した育児施設や図書館、自習スペース、医療施設やコミュニティ施設を検討している(資料参照)
・農業従事者は1000人程度、そのうち95%がメロン栽培
・漢方薬のツムラが薬草園を経営し、11月以降の農閑期に乾燥工場で農業者が従事できる環境を提供しようとしている
・夕張市は92%が林野であり、うち91%は国有林。現在の都市公園の一部、公営住宅建て替え後の跡地などを合計するとさらに50ヘクタールの空地を確保することができる。ここに植林をしていくというプロジェクトも検討している。
・観光施設としては、石炭の歴史村の石炭博物館は再生し、夕張総合博物館のようなものとして核になるといいと考えている。
参考:
空知(そらち)産炭地域総合発展基金
過疎債